彼女は計算して奇跡を起こす。
▼ラプラスの魔女
東野圭吾がデビューして
30年、
80作目の小説だそうです。
母が購入したものですが、私の方がはまってしまい、一足先に読み切ってしまいました!
東野圭吾の作品は、私には当たりはずれがあるのですが…この作品は凄く面白かった!
本の裏表紙にかかれているあらすじはこんな感じ。
円華(まどか)という若い女性のボディーガードを依頼された元警官の武尾は、行動を共にするにつれ彼女には不思議な,≪力≫が備わっているのではと、疑いはじめる。同じ頃、遠く離れた2つの温泉地で硫化水素による死亡事故が起きていた。検証に赴いた地球化学の研究者・青江は、双方の場所で謎の娘・円華を目撃する―――。
作品のタイトルである「ラプラスの魔女」とは、この謎の少女・円華のことを指しています。
作中でも、円華自身が「
私はラプラスの魔女になりたい」と言っていましたしね。
ちなみに、この「
ラプラスの魔女」とは、フランスの数学者、
ピエール=シモン・ラプラスによって提唱された存在「
ラプラスの悪魔」の女性版と言ったところでしょうか。
もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。
上の世界観は、ラプラスが自著の中で主張したものです。
そして、この主張の中で登場する「知性」こそが「
ラプラスの悪魔」と呼ばれる存在です。
その後、
原子の位置と運動量の両方を正確に知ることは原理的に不可能であるため、全てを知ることは出来ないのならラプラスの悪魔でさえも未来を完全に計算することはできない、というような結論に至ったとされています。
こういった、
「理論上は存在しているけど実在していないもの」が存在するという設定、大好きです!
そして、魔女になった円華以上の怪物もなかなか興味深かったです。
あとは、あまり書きすぎるとネタバレになってしまいそうなので詳細は伏せますが…やっぱり一番の悪魔は人間なんだなぁと実感しましたね。
まあ、その人には身体的欠如があったので、純粋にそうだとは言えないのかもしれませんが。
ふと、別の作品の中で、凄惨な殺人現場を見た刑事が「
人間のやることとは思えない」とこぼしたことに対して、「
人間だからだ。逆にここまでやるのは人間しかいない」といったようなセリフをもう一人の人物が言ったシーンがあったのを思い出しましたね。
…何の作品なのか、全く覚えていないのですが…このやり取りは凄く印象的でした。
あとは、最後に武尾が円華に「未来はどうなっているのか?」と聞いたときに、「そんなの知らない方が良い」と答えたシーンも印象に残っています。
(台詞はうろ覚えなので…正しくはないと思います)
おそらく円華にはこの先の未来が見えているのだと思いますが…知らない方が幸せなんでしょうね。
ミステリー好きの方には是非読んでほしい作品でしたね!
あとは、グロテスク耐性があるなら、是非、内藤了の「猟奇犯罪捜査班」シリーズも読んでいただきたいです!
猟奇犯罪捜査班シリーズについては、こちらの記事をどうぞ!
2016/08/26
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